「だから僕は音楽を辞めた」を聴いて思ったことを書いていく

1回しか聴いていないしMV見なかったけど140字におさまらない感想が出てきそうだったので。これは正当でない解釈や無関係の話題を出すための予防線だし,1回でそれなりに聴き取れているという主張でもある。ヒットチャートを聴かなくなって久しいので最近の曲がだいたいそうだったらごめんだし例外だった場合もごめん。

聴いたきっかけ:

聴いた場所:https://youtu.be/KTZ-y85Erus

タイトルから予想できるように恋愛以外について歌っている歌だったはず。アニソンにもよくそういう良さがあって好きだがいつもそうではない。J-POPには少ないのではという印象があって,ポケモンマスターに絶対なってやるというような強い気持ちを歌ってほしい,とは普段から思う。

歌詞の内容は,「世の中で信じられている価値観(例えば「愛」とか)が分からないし,自分にはそれと違って伝えたい価値観があったはずなのだが,何らかの理由により音楽をやめた」みたいな感じだった。適当に聴いていたからなのか「何らか」が何かが分かっていないが,前提と結果が重要でそこは重要ではないか一言では表せないかみたいな気がする。

当然の反論として「愛が分からないは失恋や悲恋みたいなものではないか」があり得るが,世の中の普通の失恋ソングがそんなに共感できない人は一定数いて,愛が「失われた」については想像しかできず「そもそも無かった」ならよく分かる,みたいになりがち。両親から愛されて育っていても他人からの愛はよく分からなかったので,世の中のせいなんだと思う。そういう社会になってしまった。足切りされてしまう人にとっては恋愛は深く考える余地のないものだ。

おそらくいつの時代もだが,上の世代の価値観の拒否がここで共感を呼んでいるテーマで,自分のほしい幸せがすでにある言葉で表現できていなかったり言葉の定義が嫌いだったり,より屈折した感覚としてはかつてあった幸せの形が自分の周囲にはなかったりそれでもそれを目指せと上の世代に言われたり,みたいなところを分かっている気がする。まあこの世代について言えば,適当な単語を言っていれば団結できる時代は終わっている。最近の「敬意・感謝・絆」もよく分からなかったし。この歌がウケている世代が同世代ではないかもしれないし,作者が本当に音楽をやめたのかがどうでも良いのと同じくらいには作者の世代はどうでも良いんだけど。(実際知らない。)

歌の歌詞が聞こえない派から歌詞で大体の評価を決めてしまう派までいるのは知っているが,私はどちらかといえば聞こえない派。楽器先行の育ち方をすると認識がそうなりがち。この歌でも歌詞はどうでも良いよみたいに言っていたし,ピアノは技術があるような雰囲気を出している。

一方で,繰り返しの多さは技術はあるのにやる気がないという表現になっていたような。クラブミュージックで繰り返しは当然なので聴き慣れてはいるが,ピアノ・ギター・ベースといったバンドサウンドで前小節完全コピー(単にリズムが同じという以上に音程も同じ)を多用されると「もっとやる気を出せ」って感じる。もっとも本当にやる気ないわけではなくて,即興曲が本当に即興で作られているわけではないのと同様に意図的に情報量を落としていると思われる。間奏にアドリブあるし。

サビが5音階だった。あからさまにそうなのは1周回ってきているのかもしれない。とはいえ,歌番組でこの曲のサビだけ流されたとしたらどうでも良いよってなっていたと思うので,サビは(J-POPの)マナーとしてあるんだなあって持論が強化されてしまう。歌詞としては「結論」がサビにあったりするけど結論が一番大事かっていうとそうじゃないよねみたいな。

Aメロ後半,ボーカルがかなり休む場所があって,ここの違和感が最初は緊張感を発生させているんだけど後から「言葉につまっている」「言うべきことがない」などの表現だったのではとなった。あと,ラスサビの後叫ぶ。こういうテーマで叫ばなかったら嘘でしょ,みたいな期待はあったのでちゃんと叫んでいて安心した。