今日の思索#8

「文理の違い」
特徴付けを与えることを試みます.


まず,暗記が必要かについて考えてみますが,これをもって文系と理系の差を特徴付けることはできません.では暗記の種類で特徴付けることができるかを考えてみると,これも無理です.暗記の種類で特徴付けられるのは,勉強方法の良し悪しでしょう.得意分野が得意な暗記法に対応していて不得意分野が不得意な暗記法に対応しているなんて考えると他人に受け入れられません.


次に,専門用語の使われ方について考えてみますが,これをもっても文系と理系の差を特徴付けることはできそうにありません.用語の厳密な定義が必要なのが理系で用語の定義が必要でないのが文系というように感じますが,私の環境の影響でしょう.周りにいる高レベルな文系の人数や文系の立場で接される頻度が少ないため,まともな文系というのを知らない感じがします.大学やその近辺で見かけているのは,次々と相手の知らない専門用語を出しては語感とその語の発明者についての知識で会話しているような人だけなのですが,まともな人は声が十分小さいのでしょうか.これとは別に,数学でさえ研究途上の内容だと未定義語を使わなければならない状況があり得るらしいというのも理由です.


さて,上の2例は学問を「取り組み方」で分類しようとしています.そういう間接的な見方で上手くいかないならば直接学問の内容に触れて分類すべきです.


ここで提案したいのが,文明が一度滅びたとしてどの程度今と同じ学問ができるか,という特徴付けです*1.この分類では「物理法則の解明」みたいなものをおそらく理系に分類し,「特定の小説家の作品群の研究」みたいなものをおそらく文系に分類できます.2択で分類するのが不適切だとするなら,連続的に分類することにしましょう.理学部だと,

  • 純粋数学のうちどの専門が理系に分類されるのかはよく分かりません.気になるところです.
  • 物理は理系でしょう.文字が変わったり物理定数が定数倍されるぐらいで済みそうです.
  • 化学や生物は割と理系でしょう.上の定義の「文明が滅びる」が地球が爆発とかだと元と同じ学問ができるか疑わしい分野もあるでしょうが.

工学とか経済学とかはよく知らないので言及しません.今の社会の製品や制度がどの程度必然的なものか分からないですが,車輪は再発明されるものでしょう.


別に文系をでっち上げの学問だなんて文句を言おうという意図はありません.一度失われたら二度と手に入らないものって貴重だとは思いませんか?

*1:以前同級生たちと食堂で会話したときは「あり得た世界に言及できるか」で分類しようとしましたが,これは何が「あり得た世界」なのかが不明瞭なので言葉を変えました.